鎌倉紀行

take-bow2017-06-16

平日に休みがとれたので、家人と鎌倉に行ってきた。目的は寺巡りと出来ればアジサイ鑑賞という欲張った企画。ルートは北鎌倉の円覚寺→鎌倉→江ノ電長谷寺鎌倉大仏江ノ電江ノ島という感じ。平日なので自由に望み通りの時間配分でイケると思いきや、同じことを考える人の多いこと。ここは原宿か、と見紛うまでの混みように初めの円覚寺でビックリ。舎利殿を遠巻きに見て、国宝の鐘楼を堪能できたので個人的には嬉しかったが、やはりキツかった。以前、見た時はもう少し近くで舎利殿を拝めた気がしていたが、とんでもなく遠くて他のお客さんは素通りしてました。鐘楼は急坂なのにもかかわらず、多くのお客さんがチャレンジ。初めて見ましたが、谷戸の上からの眺めは格別でした。次に普通、明月院アジサイと考えていたのですが、とても無理だと察し電車で鎌倉に移動。駅前の鳩サブレ屋さんの隣でしらすご飯とソバに舌鼓。江ノ電の入り口前のハム屋さんでソーセージを食し、こんなに上手いモンだらけなんだ、鎌倉は。と再認識。カミさんが行きたがってたドラマに登場していた長谷寺に移動したら、もっと凄い人、ヒト、ひと。紫陽花はヤバい。こんなに来るんだ。急いで鎌倉大仏に行き、リフォーム済みの大仏さんの中にも高校生以来入って合掌。肝心の江ノ島に着いた時にはエネルギーが切れて、お茶をするのが精一杯。モノレールで大船に出て帰途に就きました。みんな考えることは同じだよなぁ、疲れた。

三井記念美術館に行く

take-bow2017-06-06

三井記念美術館で開催されている「西大寺展」を見てきた。初めて行ったので、東京駅から歩いたら結構あって驚いた。エレベーターで7階まで上がり、いかにも財閥三井が作りました的な展覧会場で仏教美術の粋を堪能した。西大寺東大寺と並び、重要な位置づけ・格付けの寺院であったが、失われた建物を含めて再建に奔走したのが叡尊で、彼をリアルに再現した「興正菩薩坐像」が国宝に指定されたばかりである。入ってすぐの仏具類はほとんどの人には関心が無いだろうが、密教芸術の主要部を構成するものである。寺の歴史上、やむを得ないが本来あったであろう文物が散逸している。各地の真言律宗の寺院からの出品が多いことに気づいただろう。個人的には国宝「金光明最勝王経」が見られて嬉しかった。しかし、平日の昼間なのにお年寄りばかりでかなりの賑わいを見せ、鑑賞するには辛いシチュエーションだった。金沢文庫のような理想的な状態で拝観したかった。

小栗康平監督作品『FUJITA』を見る

take-bow2017-05-31

遅ればせながら、『FUJITA』を見ることが出来ました。かなり前に公開されていた時は仕事が忙しく見ることがきませんでした。ネットで情報を得ようとしたら、浅田彰のスキゾ的批評を見てしまい、映画を見る前からイヤな感じでの鑑賞となってしまった。オダギリジョーのフランス語がどんだけ下手かなんて一般庶民には関係ないし、ハリウッド映画に日本語で出てるタケシの出演の方法もありかなと思いながら、画面を見つめていた。正直言って、小栗監督作品としては完成度が低いと思う。藤田嗣治がレオナルドFUJITAとなって教会の壁画を晩年に作成するに到る真相は、本作では理解できない。最初のフランス時代のデカダンスな映像がイケていたので期待したが、突然、日本に戻り戦争絵画の大作を描きまくる藤田の苦悩は、暗いトーンを多用する監督の作風を理解しても、あの映像では分からないと思う。大きな展覧会で藤田嗣治の作品を実際に見ている人なら、彼の全盛期が時代の要請でとんでもないことになって行ったのは理解しているはずだ。だとすれば、抽象的な映像美で見せられても誤魔化しにしか思えないだろう。苦い鑑賞になってしまった。
評価は、残念ながら★★☆ブラボー

Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band 50周年

take-bow2017-05-26

この名盤について、今さら書き記すことは無い。今年、ビートルズの「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」がリリースされて半世紀経つ。それを記念した特別盤が発売された。おじさんの懐を直撃するこのような企画モノはレコード会社も自粛して欲しいのだが、これだけは欲望を抑えることは不可能であった。購入し、今、Sgt. Pepper's SESSIONSから聴きながらブックなど資料を眺めている。どっぷりSgt. Pepper'sづけである。
追記:DVDやブルーレイを見るのに手間取りました。キチンとメニューが分かりやすくして欲しい。

呉座勇一著『応仁の乱』を読む

take-bow2017-05-21

とても売れているという本書は出たときから欲しいと思っていた。それは小生があまりに応仁の乱を知らなすぎたからである。知ってるつもりになっている応仁の乱の実像を解き明かすのが、本書の目的だとしたらかなり厳しい評価になってしまう。結局、分かりにくい歴史事象の応仁の乱の分かりにくさが判ったというのが一番正確で率直な感想だ。そんなレベルの低い感想だけでは著者の労苦に報いることが出来ないので、いくつか小生でも判った点を記す。
1.「国民」の存在。奈良というか興福寺春日大社独特の国人層にあたる呼び名を知った。
2.尋尊『大乗院寺社雑事記』と並んで貴重な史料の存在。経覚の『経覚私要鈔』の重要性は本書のおかげで理解できた。
3.興福寺のうち、近衛家は一条院に九条家は大乗院へという摂関家の棲み分けがなされていたという基本的なことを知った。
4.畠山氏の分裂が応仁の乱を準備し、もともと細川・山名の対立があった訳では無い点を知った。ここから勢力均衡によって戦いが長期化・泥沼化する点にも結びつくことを理解した。

奈良という京都から適度に離れた土地から応仁の乱を見ていたので、客観的に論じることが出来るということは逆を返せば、現場から離れすぎているという弱点を本書はもっているのでは無いかという素人の疑問が残った。

take-bow2017-05-03

久しぶりに横浜の「金沢文庫」に行き、昨年、国宝に指定された称名寺聖教・金沢文庫文書の一部を見てきた。何せ多岐にわたる中世の古文書群が2万点というのだから凄い。紙が大事な品である時代なので、裏書きなど当たり前で読みにくいが、それだけに貴重な史料が多い。「金沢文庫」という図書館を作った北条実時やその子孫は執権の縁類の家柄なので、政治的な内密のメモ書き的なモノまで残ってしまっているのは笑える。また、仏教系は豊富な写本群が見られ、真言宗の知識が若干ある小生としては本当に価値の高いモノばかりだった。中でも「伝法灌頂血脈」というのは汚いメモ書きに見えるが、たいへん貴重で興味深い。絵画も少しあるが古文書中心の実に地味な国宝群なので、おばちゃんが「字ばっか」と言っていたが、やむを得ない。帰りは称名寺にお参りしたが、一度で良いから朝比奈切通し経由で鎌倉まで行ってみたいと思った。

国立新美術館で「ミュシャ」展を見る

take-bow2017-04-29

日曜美術館で知ったアルフォンス・ミュシャ展覧会を見てきた。GWの混雑は避けたかったが、日程上やむを得ず今日となってしまった。テレビで今回の展覧会は「スラヴ叙事詩」全20作がすべて見られると知って、出動することにしたのだった。正直言って、アールヌボー的なパリ時代のミュシャだったら見に行かなかっただろう。無知なことに、こんなに骨のある作家だとは知らなかったのである。「原故郷のスラヴ民族」から始まってもの凄い大作が20枚も並ぶと圧巻だ。そのテーマはまさに20作目の「スラヴ民族の賛歌」である。のちの彼の人生を思ったとき、この作品に込めたものこそミュシャという画家の本質である。売れっ子時代のいかにもなポスター群とはあまりに差があると思われる。これだけの作品を一挙に公開する難しさを理解した上で、あえて苦言を呈するなら、やはり作品を順番通りに並べた状態で見たかった。また、一部屋に一ないし二作品までに限定して頂けると別の作品を見る人とクロスするような混雑状態にはならなかっただろう。そんな辛い状態でも見ておかないと、美術ファンなら損をする紛れもないホンモノの展覧会である

ブリューゲル「バベルの塔」展を見る

take-bow2017-04-18

今日から東京都美術館で始まった『ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展』を見てきた。副題にあるように「16世紀ネーデルラントの至宝−ボスを超えて」をたくさん展示していた。ヒエロニムス・ボスの独特の芸術も見ることが出来たが、画集などでよく見る作品では無かったので温和しめだ。ピーテル・ブリューゲルの版画も展示されていて、細かな表現を好む画家の姿勢を堪能できる。しかし、本展の価値は、ひとえに小バベルともよばれるボイマンス美術館所蔵「バベルの塔」を間近に見ることが出来る至福の時を過ごせる点である。本日は比較的空いていて、愛用のモノキュラーで細部の一人一人を確認すること出来た。旧約聖書の有名なエピソードの画像化なのだが、海の部分の舟がレンガ?を運ぶ様はまさにネーデルラントの風景であろう。作業員の生活の場である地上にはため池や農作業の様子や住まいも描かれている。クレーンで上階に資材をつり上げているシーンや鳶さながらの木組みを組んで上っている様子は実にリアルである。正直、もっと大きい作品だと思っていたので、モノキュラーが無ければ細部まで堪能できなかっただろう。見に行かれる方は双眼鏡などの用意をお勧めします。

「ロマノフ王朝展」に行く

take-bow2017-01-13

本日、仕事終わりに東洋文庫ミュージアムで開催されている「ロマノフ王朝展―日本人の見たロシア、ロシア人の見た日本―」に行ってきました。学生時代に史料を閲覧しに行った時とは異なり、あか抜けた感じのキレイな建物になっていて、ミュージアムがあるなんて知りませんでした。レイアウトも東洋文庫らしくてとても良かったのですが、バリアフリーの観点からはキツいミュージアムでは無いでしょうか。どこかにエレベーターがあるのだとは思うのですが、階段も狭くて急なのでそんな印象を受けました。展示内容はとても興味深いものだらけで、中でもプチャーチン来航図のヘダ丸が思ったよりも小さいのに感銘を受けました。できればロシアとぁ関係が深い玉井喜作や大泉黒石の著作や関連物も見てみたかったです。

『ファンタスティックビーストと魔法使いの旅』を見る

take-bow2017-01-01

ハリー・ポッターの作者J.K.ローリング女史がシナリオまで手がけた作品が本作。舞台をアメリカに移し、アメリカの魔法世界での出来事を描いている。『幻の動物とその生息地』というハリーも使っていた教科書の著者ニュート・スキャマンダーが主人公の物語となっている。この本ではイラストが少なく、イメージ化しにくいモノを映像で見られ、とても新鮮。ハリーの映画シリーズの後半が辛かったのに対し、本作はローリング女史の脚本だからかとても生き生きとした映像になっていて楽しめた。ノー・マジ(非魔法族、マグル)も巻き込んでの物語の展開はやはり面白い。惜しむらくは闇の魔法使いの絡みの説明が判りにくいと感じた。
★★★★ブラボー