小栗康平監督作品『FUJITA』を見る

take-bow2017-05-31

遅ればせながら、『FUJITA』を見ることが出来ました。かなり前に公開されていた時は仕事が忙しく見ることがきませんでした。ネットで情報を得ようとしたら、浅田彰のスキゾ的批評を見てしまい、映画を見る前からイヤな感じでの鑑賞となってしまった。オダギリジョーのフランス語がどんだけ下手かなんて一般庶民には関係ないし、ハリウッド映画に日本語で出てるタケシの出演の方法もありかなと思いながら、画面を見つめていた。正直言って、小栗監督作品としては完成度が低いと思う。藤田嗣治がレオナルドFUJITAとなって教会の壁画を晩年に作成するに到る真相は、本作では理解できない。最初のフランス時代のデカダンスな映像がイケていたので期待したが、突然、日本に戻り戦争絵画の大作を描きまくる藤田の苦悩は、暗いトーンを多用する監督の作風を理解しても、あの映像では分からないと思う。大きな展覧会で藤田嗣治の作品を実際に見ている人なら、彼の全盛期が時代の要請でとんでもないことになって行ったのは理解しているはずだ。だとすれば、抽象的な映像美で見せられても誤魔化しにしか思えないだろう。苦い鑑賞になってしまった。
評価は、残念ながら★★☆ブラボー