名曲・名盤 タイ・フォン「ウィンドウズ」

take-bow2012-12-03

レコードでは持っているが、CDになってからは所有してないという作品が何枚かある。その中でも一際変わり種なのが、この一枚。フランスのプログレッシブロックバンド・タイ・フォンTai Phongのセカンドアルバムである。もはや私語の「プログレ」という言葉に笑ってしまう人もいるだろうが、小生のもっとも好みなのがこのジャンルであり、この作品もかなり聞き込んだ思い出がある。なぜフランスのバンドを聞いたのかは思い出せないが、たぶんラジオか雑誌の記事からの受け売りで購入したんだと思う。ベトナム系フランス人のグループとのことだった。オープニングのWhen It's The Season/憧憬と失意の季節からぶっとびのサウンドがギターとキーボード中心に展開する。特筆すべきはボーカルJean-Jacques Goldmanの声である。現在はフランスを代表する国民的歌手なんだそうだが、当時の小生にはその甲高いボーカルにビックリし、サウンド構成がイエスに似ている処も好みの一枚となった。「ジャン・ジャック」と言えば、当時の小生にはルソーではなかったのである。2曲目の波の音のSEで始まるGAMESは、特にお気に入りで、する切れるほど聞いた記憶がある。アナログ時代は3曲ずつの構成だったのか、CDでは初めと終わりに大作を配置しているいかにもプログレな作品である。全編歌詞は英語なので聞きやすい。今回、リマスター盤を聞き直してみて、5曲目のLAST CHANCEのような暖かいアコースティックギターの音も良い。大作だけが名曲ではないし、その個性を示すものとは言えないということを痛感した。

Tai Phong『Windows』 1976.ワーナーミュージック・ジャパン(2007再発)