名曲・名盤 Green Day「21st Century Breakdown」

take-bow2009-06-07

パンクは苦手だ。思えばロックをリアルタイムで聴かなくなったのはパンクが流行り始めた頃だった。今から考えれば、それがあの時代に適していた表現であったとは思うのだが、その頃はヘタウマな感じがして好きになれなかった。
Green Dayもこの最新作を聞くまで全く知らない、Green Dayド素人だった。前作『American Idiot』が全世界で1200万枚も売り上げたなんて話は後から聞いたことだった。パンクといってもメロディアスな曲も多いので聞きやすいよと薦められて本作を購入したのだった。

驚いたことにこの作品今どき、コンセプトアルバム(死語?)なのである。3つの場面に分け、ChristianとGloriaの物語を歌い上げることによって、今のアメリカの問題を浮かび上がらせるという志向だ。タイトル曲「21ST CENTURY BREAKDOWN」の一節


My generation is zero   
I never made it as a working class hero


にグッと来るオールド・ロックファンは多いはず。そうTHE WHOの名曲  「My generation」やジョン・レノンの「Working Class Hero」へのオマージュであることは言うまでないだろう。革命待望論の「KNOW YOUR ENEMY」はMステでのスタジオライブアクトでご覧になった方も多いと思う。  「LAST NIGHT ON EARTH」はまさにジョンを彷彿とさせるボーカル、メロディライン。とても聞きやすい。本当に吃驚した。「21 GUNS」のようなテーマをしっとりと歌い上げる手腕とパンクの本領であるリズムの強烈さを掛け持つ。恐るべし、Green Day。しかし、ここでハタと気づいた。なぜ小生のようなオヤジまで引きつけるのか。その音楽性もさることながら、その巧みな商業性に秘密がある。これだけネットでダウンロード出来る時代になぜ購入してしまうのか。それはコンセプトアルバムだからだ。1曲もしくは数曲だけではダメなのだ。アルバムとして持たねば意味がない。実に深慮遠謀に満ち満ちた作品だったのだ。
本作はもう既に名盤であり、伝説である。


Green Day『21st Century Breakdown』 2009.5.  Warner