名曲・名盤 矢野顕子「JAPANESE GIRL」

take-bow2006-10-29

いわずと知れた矢野顕子のデビューアルバムである。30年経っても、その鮮烈さは忘れられない。何せリトルフィートがバックを務めているのである。何で新人のそれも日本人アーティストに、という疑問は、アルバムを聴けば氷解する。私にとって、このアルバムは「丘を越えて」の名演につきる。変幻自在、融通無碍、自由奔放、どれをとっても彼女の演奏をカバーしきる言葉はないように思う。あまりの驚きにその後も常に彼女の動向に目を離せなくなった。個人的には後の彼女の活動も大好きだし、曲では「ひとつだけ」や「夢のヒヨコ」、YMO「在広東少年」の方が好きなのだが、アーティスト矢野顕子に出会えたという意味で、このアルバム抜きに語ることはあり得ない。思い出深いのは、アルバム『SUPER FOLK SONG』の時のツアーで、渋谷オーチャードホールにて初めて生演奏に触れる機会を得たことだ。本当に才能のある音楽家というのは音的に自由なんだなぁ、と感心した。何ら制約するモノ、自由を縛る鎖、そんなモノは何もないということをピアノの前の矢野顕子は証明するピアノ伝道師のようだ。

30th Anniversary記念のベスト盤『いままでのやのあきこ』が8月に発売されている。次回作は『これからのやのあきこ』だそうである。もっともっと楽しい音楽を聴かせてくれることは間違いない。


矢野顕子『JAPANESE GIRL』 1976.7.25  徳間ジャパン