名曲・名盤 エラ・フィッツジェラルド「エラ・イン・ベルリン」

take-bow2006-06-11

エラが亡くなって今週6/15で10年経つ。ジャズボーカリストの最高峰、20世紀の文化遺産、the First Lady of Jazz。ありとあらゆる賛辞が彼女、エラ・フィッツジェラルドには与えられているが、それらはこのアルバムの、この一曲にこそ相応しいと私は感じる。

最盛期のエラがまだ東西に分断されているベルリンで見せたパフォーマンス。ドイツならではの御当地ソングとしてクルト・ワイルの歌を取り上げたのだろうが、彼女ならではの自由奔放さによってその世界は広がっていく。スキャットあり、サッチモあり、音の高低だけでない広がりあり。まさに宇宙的に広がっていく様は、ジャズのライブならではであろう。ライブのもつ楽しさ・ノリ・アドリブ・感動がこれほど詰まっているアルバムも珍しい。私の持っているCDは旧盤なので曲数が少ないが、今出ているのは『完全版(+4)』と銘打ってコンサートの全体像がつかめる感じなのだろう。ただ、私にとってこの盤はこの「Mack The Knife」の名演のみで充分、多くを望んではバチが当たると言えるかも知れない。


エラ・フィッツジェラルドはジャズそのもの。ボーカルこそ最高の楽器と実証してくれる歌姫である。


Ella Jane Fitzgerald 『Ella in Berlin』 VERVE 1960