名曲・名盤 槇原敬之「LIFE IN DOWNTOWN」

take-bow2006-05-21

才能のあることは分かっていました。でも、同性愛やら、クスリやら、彼についてはとっても理解できないことが多かったのも事実です。そうそう、事件になったこともありましたね。常にトップを走ることを強いられ、転落していったアーティスト。そんなのイメージに彼、槇原敬之はピッタリでした。

ところが、スマップに「世界に一つだけの花」を書いた頃から、何かそれまでとは違って来たという感じがありました。なぜだろう。どうやって吹っ切ったのかなぁ、と気にはなっていたのですが、私はファンでは無かったので触れずに来ました。そんな時、NHKの「音楽の遺伝子」と言う番組で、美輪さんの「ヨイトマケの唄」を歌う槇原敬之を見ました。唄は、はっきり言って、ピンと来なかったです。でも、あの唄のもつ意味をまじめに受け止め、自分なりに表現しようというアーティストとしての根性とか、魂とかみたいなモノがひしひしと伝わりました。自分の背負う原罪のようなものを、彼が乗り越えられた原因は、これか。
そして、最新アルバムを聴きました。詰まってました、普通の人が、普通に生きて、普通に喜びを感じられる曲・曲・曲・・・・・・。つらいこと、悲しいこと、へこんだこと、怒りがこみ上げること、苦しいこと。日々、生きていく中で必ず発生する嫌なことの集団にどう立ち向かうのだろうか。また、向かい合うべきなのか。まっきーに教えられたような気がします。「下町」の何気ない人情や飾り気のない人間関係に込められた、彼の優しさ溢れたメッセージがじ〜んわりと染みてきます。


稀代のメロディメーカー槇原敬之は、ココロノコンパスを持って、より高みに向かっている。彼は果たして「約束の地」を見ることが出来るのであろうか。


槇原敬之『LIFE IN DOWNTOWN[Limited Edition]]』 2006 東芝EMI