名曲・名盤 RCサクセション「カバーズ」

take-bow2006-04-07

ロックやPOP系のコラムではメジャーな作品はあまり取り上げないつもりでいた。しかし、このアルバムを抜きに日本のロックを語ることは不可能と判断し、私の何倍ものマニアや研究をなさっている方々、ファンの仲間入りをさせてもらうこととした。


このアルバムはロックを中心とした名曲に、忌野清志郎が「反戦反核」の意訳の詞をつけた、まさにカバー曲集というコンセンプトであった。常々、小生は日本のアーティストには政治的意見や哲学と呼べるモノが薄く、欧米のアーティストと比べて社会性の欠如を憂いていた注)アメリカのWe are the Worldやイギリスのマンデラ・コンサートにみる発言力やパワーは欧米音楽家の主流であり、その軸のブレ無さは「クール」の一言に尽きる。
そんな中、紆余曲折の末、発売されたのがこの『カバーズ』である。 1曲目の「明日なき世界」はとてもパンチの効いた歌詞で歌い上げ、最も気に入られたナンバーとなった。フォークアーティストの高石友也氏も訳詞に参加している。5曲目の「ラブ・ミー・テンダー」の「何言ってぇんだぁ〜」という韻を踏んだ歌詞には感服した、流石、キヨシロー。私の個人的な最大のお気に入りは7曲目の「サマータイム・ブルース」である。 THE WHOのライブナンバーとして知られるこの曲を、全く異なる反原発反核の歌詞に変えたのである。その上、三浦友和泉谷しげるの絡みが巧く、高い効果を発揮している。最後にJOHNの「イマジン 」で閉めるあたりも巧いなぁ。
「素晴らしすぎて発売できません」ではなく、「素晴らしすぎて後が続きません」という感じである。その後、忌野清志郎タイマーズやHISなど活動を拡大していくきっかけのアルバムとしても感慨深い。


♪♪でもよォー 何度でも何度でも おいらに言ってくれよぉ
   世界が破滅するなんて嘘だろ(うっ・そ・だろ〜ぉ!)
    「明日なき世界」


注)勿論、桑田佳祐などの活動に見るべきモノがあり、その後のガガガSPなどの台頭は日本の良心とも言えると思う。



RC SUCCESSION  『COVERS』 キティレコード 1988