take-bow2007-10-06

友人のY先生が貸してくれたCD。ロックの奥深さを的確に示している一枚。前半の6曲はビートルズなどの完全コーピー。どうしてもこちらに関心は集まる(かく言う私もここが聴きたくて借りたのだった)。しかし、音の魔術師は後半のオリジナルでも聴く者を魅了する手を緩めることはない。とてもアメリカのロックアーティストとは思えないほど、ブリティッシュな趣。何とも爽やかで、何と広がりに満ちていて、ステキな楽曲の多いことか。この後半オリジナル部分を聴かせるために、自らのルーツに対するオマージュを前半で展開したのだと思える。その証拠に前半で完コピしているモノは、どれもこれも難しい楽曲で、それぞれのアーティストの代表曲という特性よりも歌いにくい(真似しにくい)モノばかりなのである。まさに音の職人といえよう。これだけ器用な人は二人といないだろう。ビートルズビーチボーイズには近い物を感じるが、ジミヘンやヤードバーズは対極にある気がする。何よりもディランになり切れるのは余人を持って代え難いといえる。後半のオリジナルでは8、10、11曲目がお気に入りとなり、比較的パンチの効いた7曲目も心の琴線にグッと来た。


Todd Rundgren『Faithful』 1976.04  Rhino / Wea