take-bow2015-03-18

久しぶりに知らないことに対する知的欲求が高まるのを感じた。本書に展開されている著者の論点は私にとって初めて目にするものであるし、今まで持っていた歴史的な知識の誤り(もしくは限界)を教えてくれている。イスラームに対する我々の知識がほぼ欧米経由で移入されているため、イスラーム独特の論理構造を本当には理解していなかったという当たり前のことに気づかせてくれている。もちろん不満が無い訳ではなく、あくまでも筆者は一神教の立場の発想なので、多神教の者は全否定されて終わりという部分については納得がいかない。それでも神と預言者とカリフの存在とバイア、クルアーンイスラム法(シャリーア)の関係など今までの参考書など紹介する書物の理解不足を気づかせてくれた点に本書を読む価値があると思う。