take-bow2013-05-02

GWにどこへも行けない小生は、メーデーこの作品を見に行ってきた。冒頭のシーンにプライベート・ライアンミュンヘンの再来のようなおぞましい(スピルバーグこだわりの)映像から始まる。ところが、戦争映画でも南北戦争に勝利した英雄大統領の伝記映画でもなく、議会(下院)対策に苦慮し続けるリンカーン、ノイローゼ気味の婦人や軍隊に志願する息子など家族関係に苦悩する人間くさいリンカーンをひたすら描き続ける。時にはウソをつき、相手を威圧するが、日頃は至って穏やかなリンカーンを主演のダニエル・デイ=ルイスは丹念に演じていく。しかし途中でハタと気づいたのだが、有名なゲティスバーグのシーンも選挙で勝利するシーンも、ましてや劇場で暗殺されるシーンでさえもないのである。スピルバーグ監督はひたすら合衆国憲法の修正第13条を成立させるために、ありとあらゆる手を尽くす大統領像を描いた。民主主義の根本、とても理解し合えないと思われる対立する意見をまとめ上げていく、ホンモノの民主主義の姿を我々に見せたかったのだろうか。なので小生は、なぜスピルバーグが今この作品を?という疑問にいまだ答えを出せずにいる。
★★★★☆ブラボー