take-bow2012-01-09

先日の状況から鑑み、朝イチで行かなければ清明上河図を安定的に見られないと判断した小生は、9:30の開館前に着くべく上野に向かった。しかし、甘かった。30分前なので大丈夫だろうとタカをくくっていたら、入館する頃には清明上河図は120分間列べとのこと。さっさと方針を転換して、遠巻きで良いから見られりゃいいやと考えて、展示室に入ると実に空いていた。

まず第一室では、北宋徽宗の書画を堪能し、後漢時代の貴重な拓本「四明本西獄崋山廟碑」をみることができた。ほとんどの方は絵画の処以外はスルーに近い。まして後者は破れている拓本の軸なので、何でこんなモノという感じでやり過ごしていた。ラッキーだ。書のコーナーでは、米芾などを堪能できたし、朱熹の貴重な(決して上手いとは思えない)直筆を見ることができた。絵画では李迪、趙孟頻、王繹らの名品を味わえた。中でも趙孟頻筆「水村図巻」に乾隆帝が自ら「清華」と記しているのをじっくり独り占めで見ることができた。清明上河図は橋のシーンと城門の処を遠巻きに、前列の人の隙間から見られた。
後半の展示は、清王朝の中国文化に対する貢献の素晴らしさを示している。以前の展示で見ている元代の青磁や「康煕御製」銘の黄色い牡丹の椀以外にも、景徳鎮や汝窯などの名品が目白押しだった。堆朱は小生の好みでは無いが、明代の漆器螺鈿の器に優れた職人技を見ることができた。琺瑯の作品群を見て、「マイセンに似ている」と本末転倒なことを仰ってる方も見受けられた。
皇帝着用の黄色に龍をあしらった衣服や孔雀の羽を編み込んだ衣服など辰年にピッタリの企画だなぁと思った。康煕帝のモノが少なかったが、雍正帝乾隆帝の御物が豊富に展示され、「乾隆帝是一是二図軸」は中華文化を極めた異民族出身の中国皇帝としての自信に充ち満ちていた。個人的は「西清古鑑」や「西清硯譜」と本物の対比をもっと見たかったし、以前見た「康煕字典」などの文物も展示してもらいたかった(が、ほとんどの方は感心無いようだった)。
いずれにしろ本物に触れる機会が少ない、外国史研究に関わるモノとしてとても嬉しい企画であった。願わくば、もう少しゆっくり見学できるように工夫して欲しいモノである。

追記:どうしても清明上河図をゆっくり見たい方は、平日の朝早くに一日博物館で過ごすつもりで行かれると良いと思います。気合いを入れて行かないと無理です。