take-bow2007-08-12

ロングバケーション(あほです!)から帰って参りました。海・山など多くの書きたいことがあるのですが、まずある絵画展の感想から始めたいと思います。それは教え子が誘ってくれたのですが、彼の曾祖父の作品が3点展示されるということで招待券を送ってくれたものでした。場所は何と松本市美術館で、北アルプスからの下山後に似つかわしくない首タオル姿で鑑賞させて頂きました。


絵画展の正式名称は「生きる 見つめる 描く−日本近代画家の絶筆100人の終止符。−」で、日本を代表する明治以降の画家が最期に描いた作品を並べたモノです。多くの有名作家の「絶筆」が並べられており、完成度の高い状態でも未発表のままで「絶筆」となった場合もあれば、まさにカンバスに主題部分のみ描かれて「絶筆」状態となった場合もありました。中村忠二画伯の「沢庵」は大学ノートに遺された絵日記風の作品で文字を書くかの如く絵を描ける画家の皆さんの素晴らしさに感動しました。また古家新画伯の「日の出」は最期の瞬間までの画家の熱い思いが伝わり嬉しくなりました。自分も斯くありたいと思えるギラギラした色づかいでした。そして今井俊満画伯の前衛作品「The para para dancing」という大作に、時代に係わっていこうとする画家の情熱を感じました。10メートルあまりの大作でヌード写真をコラージュしている点など齢73歳の画家の作品とはとても思えませんでした。教え子の曾祖父佐分眞画伯の3点は、小さいながらも統一感のある「伊豆の海」を題材にしたもので、清涼感あふれる作品でした。正直言って、あまり期待しないで観に行ったのですが、あまりに収穫の多い絵画展で地方の美術館でのみ開催されることに疑問を禁じ得なかったです。最近、都心の美術館・博物館ではこのような企画力溢れる見応えのある展示が少ないことを指摘しておきたいと思います。