take-bow2006-11-11

昨日、やっと懸案の「仏像展」を上野の東京国立博物館で見た。1TRAさんのお奨めもあったし、学校で割引券をもらっていたのも「行かなきゃ」感を増幅していた。しかし、実は小生、仏像は大の苦手なのだ。同じ仏教美術でも庭園や伽藍そのものは好きなのであるが、どうも仏像は辛気くさいと思ってしまうたちなのである。そんな弱点を抱えつつレポートすると。。。

最近なんか多くないか特別展、などと思いながら、JR上野駅から東博に向かう。科学博物館などは8時まで入れますよ、とハンドマイクで叫んで呼び込んでいる。1300円もするチケットを買って中に入ると、やはり予想通り、お年寄りが多い。流石に今回は拝んでいる御仁にはお会いしなかったが、一つ一つの見学時間が長い。まさに時間が止まったよう。副題に「一木にこめられた祈り」とあるのを忘れて見ていたので、乾漆像は?塑像は?寄木造はどうなったんだぁ?などと的はずれな憤りを持って拝観した。呼び物の向源寺十一面観音菩薩立像」]は小生ですら拝みたくなるほどの美しさ&色っぽさを持ち、前後左右から見れるように配置されていた。お顔の素晴らしさもあるが、お姿自体の端正さは「法隆寺百済観音像」に匹敵すると思った。でも、それにもまして今回の収穫だったのは何度か見たことのある元興寺薬師如来立像」をじっくり拝見できたことだ。衣紋のリアルさや黒光りした御足や御手も堪能できた。また、後頭部の螺髪が一部禿げているのを見てしまった。ちょっとショック。また、呼び物の西住寺「宝誌和尚立像」はお顔の部分のアップを見せられるのと、現実に立像全体を見るのではインパクトに差が生じてしまうと思った。上記二体との差は素人目にも歴然で、やはり国宝というのはスゴイと思わせるに十分であった。後半の展示では荒削りな円空作品と所々綿密な木喰作品のコントラストが面白かった。前者の場合、お顔の表情が実に日本的で、直ぐそこにいるお婆さんの顔やお爺さんの顔といった趣が良い。後者はまさに立体曼荼羅、素材を生かした有り難みが表現されている。特に出色だったのが「不動明王立像」で、これは赤不動・黄不動に匹敵する傑作だと小生は思う。

テーマの関係もあるが、奈良・平安から江戸時代に一気に飛ぶのはいかがなモノか。あまりの落差に驚くし、作品数自体も少なくすごく散漫な感じがした。この程度の「特別展」に1300〜1500円は高くないか。只でさえ日本の博物館・美術館は高いのだから、当然なのかも知れないが、だったらせめて「一木造展」とかの控えめなネーミングにすべきだと思う。