take-bow2006-09-03

小西真奈美ちゃんのファンである小生は、たったそれだけの理由でこの映画を観に行った訳ではありません。うどんが大好きなのです。関西で生活をした者は「そば屋」とは言わずに「うどん屋」と言ってしまうほどのうどんファンであるはずです。また、予告編の一シーンに惹かれたためでもありました。以下、ネタばれに注意して下さい。

映画というよりもテレビ的な映像処理になっていて、分割画面などを多用してグイグイと観客をひっぱって行く。本広監督は「踊る大捜査線」でもその力量を遺憾なく発揮していたが、本作では力量プラス「思い入れ」にあふれている。うどんに対する愛情は、監督の釜の中で茹であげられる。登場人物たちの人間模様は、あたかも「さぬきうどん」にぶっかけるだし汁の如きモノである。主人公ユースケ・サンタマリアの父「松井のうどん」のオヤジさん(木場勝巳)の頑固さがいい。最近、頑固者を観るとグッと来る。トータス松本の「バンザイ」も、小西真奈美ちゃんのおとぼけキャラも、鈴木京香さんの心の強さも、そのダンナの小日向文世の優しさも、タウン情報誌の面々の個性も、すべていい味を出している。ナンチャンや松本明子らの薬味も効いている。それらが相まって作品自体をメチャメチャ美味しいうどんに仕上げている。監督の腕が良いと、コシがあるけど柔らかで、さっぱりしていてコクがある、そんな映画が出来るのだ。しかし、うどんと同様、踏み込んで寝かせて、しっかりと打って、茹で上げる物作りの根気と職人芸がなければ、この映画の味をここまでは出せなかっただろう。

うどんで泣けるとは思いませんでした。面白くて、楽しくて、グッとくる、そんなステキな作品、お奨めできること自体が光栄です。