take-bow2006-06-30

友人のチクリンお薦めの『ゲド戦記』を読み始め、Ⅰ巻−影との戦い−を読み終わる。読後感はかなり重たい感じが残るので、何故だろうと考えてみた。

一つは会話が少ない。主人公が寡黙であるためやむを得ないが、心理的独白のような文章が多い。ナルニアも読んだが、訳が古くさいけれど、会話が多い分読みやすかった。その点、本作品は会話までの間隔が長い。
二つ目に「なまえ」が重要なタームになっているのだが、それが証されないことが多い。学院で学んでいる過程でも「なまえ」にこだわり、日夜励むシーン出てくるが、何をどのように励んでいるのかが、伝わりにくい。
三つ目は「影」といっても、「戦い」といっても、目に見える形の派手なものではなく、むしろ哲学的な感じのする「戦い」である。この部分はニーチェを読んでいるかのような錯角を覚えた。「これが人生か、さればもう一度」という言葉を思い出した。

その割には嵌る。2巻ももうすぐ読み終わる。3巻に突入しそうだ。テストで忙しいこの時期に何をやっているのだ、儂は。