「琉球 美の宝庫」展を見る

take-bow2018-08-22

六本木のサントリー美術館で開かれている琉球展で、本日から「玉冠(付簪)」が公開されるのに合わせて見てきた。絵画や紅型衣装、意匠に代表される美術的な美を楽しんだ。型紙が公開されていたが、元号は「光緒五年」という清代の中国歴を用いていたことからも明らかなように、現在は日本の一部でしか無いけれど「万国津梁(世界の架け橋)」の独立国だったことを示している。琉球王国の清(中国)と薩摩・日本との微妙な関係に思いを致すと、現在の沖縄の置かれている日本政府と米軍という現状を考えずにはいられない。ただ中国と日本の間にある微妙な立ち位置が、これらの独自文化を産み出したことも事実である。第3章「琉球国王尚家の美」のコーナーは圧巻だ。それまでの文物とレベルが違いすぎる。中国で皇帝しか持ち得ないモノと同等のレベルの文物ばかりが展示されている。一瞬ただの組紐に見える「黄組物帯」ですら荘厳だ。前述の「玉冠(付簪)」は玉の美しさもさることながら、全面を覆う黒縮緬のシックで素晴らしいこと。それを横から貫く簪には二匹の龍が彫金されていて、本物の素晴らしさを示している。日本お得意の漆器夜光貝を用いた琉球螺鈿にはある意味、叶わないような気がする。また堆朱も作成していた点がやはり中国文化の強い影響を感じた。
そして沖縄戦の悲惨な結末を考えると、これらの多くの文物が奇跡的に残ったことに感謝せざるを得ない。