再び「藤田嗣治展」を見る

take-bow2018-09-01

私にとっては二度目の本格的回顧展となる「没後50年 藤田嗣治展」を東京都美術館に見に行ってきた。2006年の時と比べると空いているように感じたが、記憶は曖昧だ。学生時代の自画像や父の肖像画など前回は見ていない初期のモノも見ることが出来た。他に南米や沖縄、戦時下のカンボジアでの作品群も初めて見るので、とても新鮮だ。でもやはり戦後のレオナール・フジタとして、約束の地に到達した藤田の作品は何度見ても心落ち着く。宗教画や子供をモチーフにしていることかも一目瞭然だろう。代表作の大部分は前回も見ているのだが、最も脂の乗り切った時期を戦争画に費やされた、藤田の悲哀を本当に痛感せざるをえない。今回の大回顧展の最大の見所は、68歳の「自画像」や自作の「十字架」である。夫人が最後まで手元に残しておられたため、初めて見るモノばかりである。まさに拝みたくなる。