「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」を見る

take-bow2018-08-17

絵本画家として高名ないわさきちひろの回顧展「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」が東京駅のステーションギャラリーで開催されている。家人がどうしても見たいので連れて行けということで、安曇野の美術館で見たのと同じだったらヤダなと思いつつ東京駅に向かう。当然の如く、平日にもかかわらずやや混んだギャラリー内は正直、物理的に見づらいシチュエーションだったが、内容的にとても「絵描き」いわさきちひろを知るのにとても良い展示だった。戦前の限られた状況で恵まれた家庭環境での芸術との接点、戦後の大きな変化の中での自己実現、そして今に残る作品群。何度も行った安曇野の美術館と違い、彼女の人生が大観できた良い展覧会だ。ステレオタイプの「やさしさ」「かわいさ」などだけで無い、「絵描き」いわさきちひろに迫る内容だったのは偏に学芸員の方々の企画力の勝利だと感じた。ただ展覧会ではやむを得ないのだが、印刷技術の飛躍的な向上とそのおかげで彼女の作品が作品として評価されるレベルになったことがもっと強調されるべきだろう。また、絵本と戯れるスペースをせっかく作っていたのに、お年寄りばかりで休むスペースになっていたのが残念だった。