山種美術館で川端龍子を見る

take-bow2017-07-27

戻り梅雨?のやや涼しい中、広尾にある山種美術館で開催されている「没後50年記念 川端龍子展」を見に行ってきた。初めて行く美術館なのでまったくアクセスが分からず、調べてみると恵比寿駅から歩けるようだが、確かあの辺は台地状になっていて大変かも知れないので、バスで行ってみた(これが正解)。建物が高くて立派なのに、地下の展示スペースは使い勝手があまり上手いとは言えず、大きな作品(例えば「火生」)を引いてみるのに十分な距離を保つのが難しい。が、作品群は洋画家時代の油彩も含めて鑑賞できて、素晴らしいラインナップであった。個人的には「草の実」という全面真っ黒な下地に金泥や銀泥で草を描いた対策が好みであった。しかし、歴史的に言って、日中戦争時の「香炉峰」と「爆弾散華」を見ておくべきだろう。戦争の初期には偵察機に軍服を着て乗り込み中国大陸を睥睨した前者と終戦間際に自宅に落ちた爆弾が破裂する様を描いた後者のコントラストは皮肉だ。前者から漂う有頂天感に対して、後者は日本人誰もが経験した戦争の悲惨さとその終焉に対し亡くなった魂を追悼する思いに溢れている。他にも「金閣炎上」や藤原三代の即身成仏を描いた「夢」など見所満点の企画だった。それにつけても戦時下の画家の生き様について考えさせられた。