「ポンピドゥー・センター傑作展」を見る

take-bow2016-08-11

東京都美術館で開かれている「ポンピドゥー・センター傑作展」を見に行ってきた。山の日という祝日の割には空いていて、とても見やすかった。現代アートなので(私的には)苦手な展覧会だが、兎に角、見せ方が素敵で、企画の勝利である。1906年のドュフィ「旗で飾られた通り」から1年1名一作品を並べていく。アーティストの芸術に関する言葉も添えられているのも、とても魅力的だ。絵画・彫刻だけで無く、写真や映像などまさに現代アートの見本市、これぞポンピドゥー・センターという真骨頂の作品群だ。しかも世界史の知識があれば、その作品が選ばれた理由も理解できるのが素晴らしい。1976年までの70名近いアーティストのうち、大半は不勉強で存じ上げない人ばかりだが、そんな出会いも嬉しい美術展である。ピカソシャガール、ブラック、マティスカンディンスキーなどの有名どころは当然、人だかりが出来ていた。ル・コルビュジエの作品も飾られていたが、西洋美術館前の人だかりほどで無い。個人的には藤田嗣治の「画家の肖像」が1928年の藤田のビジュアルだというのに驚き、その後の戦争画を描かされた時代とのギャップは本当に辛いモノだっただろうと推測された。オットー・フロイントリッヒという方の「私の空は赤」という1933年の作品が、ヒトラーの政権奪取の年であり画家のその後を思う時、とんでもない意味のある展示だなぁと感心した。1945年はどうなのか、と見に行くと壁に説明書きがあり上からエディット・ピアフの「ラ・ヴィ・アン・ローズ」が流れるという美術館とは思えない素晴らしい展示であった。最初の展示室が狭くて、大型のカンバスを見るにはキツい処だけがやや難という印象を受けた。