安永幸一 『山と水の画家 吉田博』を読む

take-bow2016-07-17

NHK日曜美術館」で観た「木版画 未踏の頂へ〜吉田博の挑戦〜」という番組で、初めて吉田博という素晴らしい画家がいたということを知りました。その中で紹介されていた「劔山の朝」という作品にノックアウトされました。生誕140年を記念した展覧会が千葉で開かれ、現在は郡山で開催されていると知ったのですが、とても見に行く時間&お金が無く、少しでも人となりを知りたくてこの本を買い求めました(一部の代表作がカラー写真で紹介されてます)。一般的な歴史で習う日本の西洋画の歴史はすべて黒田清輝グループの系統に収斂されていて、権力の臭い(裸体を描こうが権力臭プンプン)がしていて凄く違和感があったのです。それに対して、吉田博らの活躍は日本古来の絵画の影響を受けつつ、物真似ではない日本西洋画のグループの存在を知らしめるモノだと思います。そういう意味で、この本は吉田博という画家の活動を知るだけで無く、一般的な美術史の限界を理解するのに役立つと思います。山好きには絶対に堪らない作品群だと思います。今すぐにでも見に行きたいのですが、来年の7月に東京で開かれるのを首をな〜が〜くして待つこととします。