2016センター入試感想2−「倫理・政治経済」−

take-bow2016-01-18

次に「倫理・政治経済」(以下、倫政と省略)の感想を記す。
今まで思ってきたことだが、そもそも二つの科目を勝手に合成し「倫政」とするのはいかがなモノか。例年小問39問だったのが、政経を2問減らし37問と他の社会科とのバランスを計ったのが、どのような結果をもたらすのだろうか。大手予備校の平均点予想ではやや易化か例年並みだが、実際に解いてみると倫理が難化し、政経がやや易化してトータル昨年並みに難しいというのが実感だ。その理由は問題の形式に端的に表れ、そもそも選択肢1問に5行も使っているのはおかしい。5×4択で20行も読まなければ、正解しないなんて世界史・日本史にはあり得ない。大学入試センターの善処を期待したい。3行ずつが9問、4行ずつが2問あり、19問中12問が長文選択肢になっているのが倫理の難易度を上げていると思う。また、選択肢の多さも特筆すべきで、8択が3問、7択が1問で著しく煩雑だ。旧帝大系の優秀な受験生が受けるからと言って、このような不均衡・不平等は許されるべきではないと考える。せめて政経の「空欄2つの組合せ」問題や6択を倫理でも標準にすべきだと思う。個別「倫理」ではリーアム・マーフィー&トマス・ネーゲルの「正義」論、コミュニタリアニズム和辻哲郎の「神」論、アルベルティ、ハイデカーの「被投性」「世界・内・存在」などは馴染みが薄いだろう。