伝記映画『ラブ&マーシー』を観る

take-bow2015-08-11

ビーチボーイズの天才コンポーザーにしてプロューサーでもあったブライアン・ウィルソンの栄光と苦悩を、1960年代と1980年代に二人の俳優の名演技で再現した、真に生きた伝記映画である。アルバム『スマイル』を巡るトラブルなど精神的な問題からリタイアしてしまったブライアンの本当の苦悩については今まで語られず、ただ単にビートルズに先を越された的な理解だけが蔓延していた。ブライアンを支配する専制君主は1960年代までは父であり、1980年代には主治医であり、この二人に共通するのはブライアンの全てを横取りして行く点にある。しかも暴力つきで、である。そんなブライアンを、ひょんな事から知り合い、救っていく女性との関係を通りして、精神的にも肉体的にも何よりも音楽的にも自由になっていくブライアン・ウィルソンを二人の俳優が演じきっている。夏休みだからか平日の午前にもかかわらず、やや混んでいて以前にみたジミヘンの映画とは違っていた。最後に現在のブライアン・ウィルソンがラブ&マーシーを歌うシーンはとても感動的だ。確かに往年の素晴らしい歌声は無い。しわがれ老人の声だ。でも楽しそうで、本当に自分のやりたい音楽をやっているのが分かって、嬉しくなった。
★★★★☆ブラボー