ピクサー最新作『インサイド・ヘッド』はアニメのフロイトだ

take-bow2015-08-04

話題のPIXERピート・ドクター監督作品『インサイド・ヘッド』を観てきた。小さい子供連れのお客さんが多かったが、たぶん辛かったことと思う。何人かの泣き声が聞こえていた。幼い子供向けのアニメでは無いので、これから観られる方は要注意だと思う。だが、そんな心配は不要なほど内容的には楽しめる作品だ。人間の頭の中、と言うか、心の中を原題"Inside Out"でいう「裏返し」にして、表に見せてしまっている。つまり人間の精神や心を投影した感情をキャラ化して、それらが織りなす世界観に図示して視覚的に明らかにしている点が画期的である。主人公のライリーが環境の変化に対応しきれず、心が折れてしまい、全ての行いまで壊れかけた時、感情キャラたちは独自の持ち味で彼女の心の平穏を維持していく。その課程でカナシミの持つ本当の重要性が理解できるように、物語は展開していくのだ。この部分が理解できない壊れた人間が「人を殺してみたかった」などとほざくことになるのだろう。深層心理や忘却、無意識などあまりに哲学的で心理学的な内容なのだが、アニメの絵にされるとは思ってもみなかった。難しいアニメを観る楽しさがある作品だ。
ビンボンには泣きました。よって★★★★ブラボー