take-bow2015-01-18

また今年度も受験生の担当となり、日本史ではなく「倫理・政治経済」(以下・倫政)を教えてきた。昨日実施されたセンター入試の問題に関して、受験生&高2生の参考になれば、と考え気づいたことを記します。

1.大問小問の構成は例年と全く変化なく、大問6題小問39問で、前半の第3問までが倫理で小問19問となって、3点問題が多くなっている。後半の第4問から3題が政治経済で小問20問で、3点問題と2点問題が同数の10問ずつとなっており、社会科系の科目の中では最も問題数の多い科目である。

2.問題の難易度として総体的には【やや易化】し、各問間の格差が大きいと感じた。ここ2年間に多用されていた、ひっかけや難易度あげる工夫が今年は少なく、2番や14番のようなオーソドックスな設問形式に戻ったと思う反面、24番のような設問は難しく感じた生徒が多いと思う。

3.倫理は易しかったとの予備校の講評が多いが、どう「やや易しい」のかが問題である。昨年まではとても悩む選択肢が作られていたが、人物とキーワードを結びつけられれば正解を得られるので、与し易かったのではないか。第1問の4番のようにABCの文が長すぎて迷ってしまうというのも残っているので、概して簡単とはいえない。また小説家のカミュの『ペスト』を再び出題するなど、もはや国語の読解ではないかと思われる形式の問題がある。第2問の6番はキチンと正確な知識が求められる。リード文を読解する各問最後の出題は最終段落を中心に正確な読み取りを求めてくる。第3問で、社会主義思想はマルクス以外を出してきたり、実証主義のコントなど近年の過去問をこなしていると比較的平易なモノが多かった。カントに関する17番が難しく感じた人もいると思う。全体的に新しい思想家を出しておらず、丸山真男の説明文に小林秀雄を使っている点があるが、目新しさは無いと考える。

4.政治経済は難易度の格差が激しいと感じただろう。第4問の20番や21番のようにビックリするくらい平易なモノもあれば、24番のように悩ましい問題との差は激しいと感じた。後者の24番は日本が「低負担・低給付」であるという認識が無いととても難しいと思う。グラフの読み取りは、所詮一つ一つの選択肢を丁寧に読んでいるかが求められるので、慌てず対処してほしい。倫政オリジナルの22番と25番は難しかったかも知れない。第5問の31番は平等と公正という概念をキチンと把握できていないと誤るだろう。第6問でも難易度の格差は現れた。34番や35番のような平易な問題と、歴史的な知識を求められる33番や37番とでは正答率に大きな開きが出たことだろう。理系の諸君が選択していることもあって、なるべく歴史的な素養を求める問題は改良を求めたい。

最後に(どうでもいいことだが)、ただ変則的な受験科目なので、これから受験する人には余りお薦めできない。2つの科目を合成して受験させるというのはいかがなものか。どうしても倫政をとる人は心して取りかかるように求めたい。