take-bow2013-03-21

両国の江戸東京博物館で開かれている特集展示「全部見せます 北斎冨嶽三十六景」を見てきた。同じ建物で「八重の桜展」もやっていたので、ほとんどの人はそちらに吸い寄せられていた。常設展の一角を利用した展示であり、浮世絵の状態も決して素晴らしいものではない(海外の美術館の方がスゴイ)のだが、「全部見せます」の言葉どおり46枚そろいぶみは圧巻であった。小生の地元、千住近辺からの富士を描いた作品が3枚もあるとは知らなかった。有名な「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」はいうまでもなく圧倒的な表現力を感じたし、遠く茨城や長野、愛知からの富士を描いている点はさすが北斎の天才を証明していると言えよう。中でも「江都駿河町三井見世略図」は江戸の三井・越後屋本店の店と富士を描く有名な構図で、別室で広重の作品を見たが、やはり北斎の切り取り方(トリミング)も妙技に唸らされた。個人的には静岡側からの表富士よりも甲州側からの裏富士に(デフォルメも含めて)軍配を上げたいと思った。今月いっぱいという期間が短いので、関心のある方はぜひお早めに行かれることをお薦めします。