take-bow2012-12-19

金子さんが生きていたら、この選挙結果をポジティブに捉えて解説してくれたことだろう。彼の意見が聞けなくなった今、小生は前向きに生きる指針を失っている。
流通ジャーナリスト金子哲雄はビジュアルの緩さ・その優しさとは異なり、本当に真のある男気・気骨の固まりだった。そして他人が喜ぶこと・その笑顔を糧として、41歳という余りに短い人生を駆け抜けていった。彼こそ他人の解脱を助けようとした阿弥陀如来の生まれ変わりに違いない、と小生は確信している。肺カルチノイドという聞き慣れない難病による、やむを得ない「死」というものに直面した時、人はこんなにも鮮やかにさりげなく、しかもキチンと「決める」ことが出来るだろうか。あまりに格好良すぎる。しかし「死に方」に拘っているよう見えて、その実、彼の生き方自体が格好良いのだ。一昔前ならダンディズムという言葉で表現されただろう。この本のいたる処に彼の「僕は本当に幸せ者です」という言葉と感謝の気持ち、そしてユーモアが詰まっている。人の一生というのは長さではなく、中身の濃さこそ重要なんだということ、を再認識させられた。そんなステキな素敵な本です。
金子哲雄著『僕の死に方』(小学館)