take-bow2012-07-27

折角、時間的にゆとりがあるので有意義に使いたくて、「草原の王朝 契丹 ― 美しき3人のプリンセス ―」を見に東京芸大美術館に行った。キビしい暑さの中、上野駅から遠いこと。。。でも無理して行った甲斐があり、近所の美術館と違って空いていてじっくりと堪能することができた。何よりも価値が高いのは「彩色木棺」で、その存在感は圧倒的である。彩色の部分がきれいに残っており、草原の民にとって「木」が価値の高いモノであったことが窺われる。あれだけ朽ちることなく保存状態が良いのはステップという乾燥気候のおかげ(日本では無理)だなぁと思う。会場に入ってまずビックリするのは、「銀糸葬衣」と「金製仮面」の組合せである。そのレベルの高さから中国文化のストレートな影響を理解できるのだが、その形状など意匠は騎馬民族としてのアイデンティティを主張している。個人的に関心が高かったのは、白磁の名品の数々である。実際には中国の定窯製かと思われるが、日本への伝来との差を考えると彼らの嗜好のレベルが窺い知れると思う。また、陀羅尼経と小塔を多く遺している点は日本との共通点(百万塔陀羅尼など)を感じ、とても勉強になった。石版のレリーフや彩色木棺などは二度と中国外で見られることは無いだろうから、ぜひこの機会を逃さず、御覧になることをお薦めします。
最後に苦言を。東京芸大美術館は鑑賞しづらいように感じた。ル・コルビジェの西洋美術館は許せるが、展示物の事情があったのだろうが3階と地下2階に移動って、正直にいって見づらい。