take-bow2008-07-24

文体なのだろうか、展開の方法なのだろうか、どうも相性の合わない作家というのがいませんか?小生にとって新田次郎はまさに「相性が合わない」ので、読みたい本が多いのに『槍ヶ岳開山』ぐらいしか読んだことがありませんでした。テーマに関してはぜひ読みたいと思っても、読むのに時間もかかるし、ディテールに違和感があって、読書欲(モチベーション)が維持できないのです。
本作も岳人には有名なエピソードを作品化していて、ぜひとも読みたいと心の奥底で思いつつも読み終わるのに時間がかかりました。北アルプスの中でも一際個性的な山が劒岳(つるぎだけと読みます)で、不肖私も3回目指して今だ一度しか山頂に到達しておりません。一般登山道ですらこの調子なので、山岳信仰の対象として地獄の「針の山」と思われていた頃には大変なことであった訳です。そんな明治後半に陸軍の測量部が地図を作るために送られ、初登頂を果たすのですが。。。
何やら来(2009)年に映画が公開されるらしく、そんな関係で文春文庫も新装版として小生の目に留まったという事のようです。原作の醍醐味を表現するためには、CGなぞ使わずに本物の劒岳で長期ロケを行って欲しいモノです。