take-bow2007-03-18

ここ数日、ショッキングな出来事が多かったため、映画を観たのにすぐその感想を書くことすら忘れていた。仕事と送別会の間に時間的空白が出来たため、大宮(まんぞう氏の歴戦地であるが、かなり趣が変化)のさいたま新都心まで行って、観てきたのである。もう公開が終わってる処もある映画の紹介(ネタばれでもあり取扱注意)だが、お許しを。

映画の原題はThe Pursuit of Happynessで、アメリカ独立宣言の「幸福の追求」から取られているが、happinessのiがyに換えられている。というのは主人公の生活していた地域(具体的には子どもが通う保育所)では、この程度の単語も誤記してしまうようなレベルであったことを示している。この映画は実話に基づいているが、実際の子どもの年齢などはややフィクションになっている。主人公のクリス・ガードナーさんはまさに「ホームレスから億万長者に」なった立志伝中の人物だ。貧しい乍らも家があり仕事のあった彼が子どもを抱えてホームレスになってしまい、その中から億万長者になっていく。新しい仕事として証券マンになるための悪戦苦闘をややコミカルに、ややリリカルに、描いている作品だ。
この映画の中でもウィル・スミスは走っている。だがMIBとは違う。もはや彼は肉体派ではなく、ひたすら苦悩し努力する「お父さん」だ。ワーキングプアという言葉があるが、日本なんてアマい。アメリカの場合、貯蓄や収入証明がないと狭い部屋すら借りられないらしく、ウィル・スミスも息子と駅の公衆便所で一夜を明かさなければならなかった。まさにワーキングホームレスだ。だが、彼は諦めない。そして息子の手を離すこともしない。施設に預けたり、もっと手っ取り早く稼げる道は選ばずに正社員への道をめざしてガンバる。泣けると思って観に行ったのだが、そんなでもなかった。もっとくさい演出をすれば、元々「泣いて行こう」と思っている小生にはピッタリだったかも知れない。

ホッとする映画。そして心豊かになれる。何よりもhappinessをもらえる映画。ウィル・スミスの実の息子の名演技も見物である。