take-bow2007-02-20

下山事件。それはあまりに遠い歴史の話だ。だからといって、関心が無かった訳ではなく、松本清張の『日本の黒い霧』や矢田喜美雄の『謀殺 下山事件』は読んでいたし、それを映画化した熊井啓監督作品『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』も観ている。しかし近年、急にこの謎の事件に関する本が多数出版されてるなぁ、とは思ってました。しかし、こんなページこんな処まであるとは知りませんでした。
そんな中の1冊が映像作家の森達也氏が著したこの本です。出発点は「彼」こと作家の柴田哲孝氏の身内の発言にあります。前述の矢田氏の著作ではイニシャルや伏せられていた部分が埋められて、少しずつ真相に近づいて行きますが、最終的は実像がハッキリする処までは行きません。しかし、そのシークエンスを映像作家らしく追っていて、とても分かりやすい文章であったため、熱くなって一気読みしてしまいました。特に当時、西新井に住んでいた歯医者さんの卵が下山定則総裁を見たという話は本当に足立区で起こった事件なんだということを再認識できました。元国鉄マンの「国鉄の男は線路では絶対に死なない」という言葉の重みは、今の人間には分かりにくいかも知れませんが、絶対的な真理であると私には思えてならないのです。


次は柴田哲孝氏の『下山事件ー最後の証言』を読みたいので、祥伝社さん早く文庫にして下さい、オネガイです。