take-bow2006-03-18

「山を想えば 人恋し
人を想えば 山恋し」(百瀬慎太郎)

前回、長丁場の山行について記したので、今回はあっさりと。友人に薦められて、1泊2日で北アルプスの秘境を旅したことがある。秋だけしか行けない処が、難点ではあるが。


黒部ダムの横から下まで降り、橋を渡ると黒四ダムの大きさが実感できる。観光放水しているので、ナイアガラの滝下に来たかのように感じるだろう。そこからいよいよ現代の秘境下ノ廊下へと入っていく訳である。内蔵助谷との出合を過ぎると、黒部らしく谷が狭くなってくる。所々、いかにも落石後ですよ、という雰囲気の斜面を歩く。デブリ、雪のブロックが現れ、緊迫の度合いも高まる。十字峡の吊り橋を渡り、いよいよ岸壁にコの字型に掘られた旧日電歩道を歩くと、三国志の蜀の桟道に迷い込んだかのような錯角を受ける。ザックが大きめなので、壁にぶつからないように注意しながら進む。仙人ダムを越え、峠を乗越すと今日の宿・阿曽原温泉だ。幕営の準備をし、急いで、むき出しコンクリートの露天風呂にビール片手に入る。最高!(何かこの山行録、いつも温泉の話ばかり)
翌日は欅平までの水平道を緊張しながら歩く。一箇所、ビックリしたのは志合谷の処で沢の下をトンネルで抜けるのだが、鋭角的にカーブしているので全くの闇になる。よって、ライトが必要だ。その上、中は水びだしなので靴の中にも入り込む。向こう側に出たら新しい靴下に替えられるようにしておこう。ここからは対岸の奥鐘山の岸壁を見ながら進み、鉄塔の下辺りから急坂となると欅平駅は近い。トロッコ列車宇奈月温泉に向かい、そこからは富山地方鉄道の旅、下界である。

緊張しつつ楽しめる、山のいで湯旅だった。                                         (写真は十字峡)