take-bow2006-01-28

縁あって『三国志』関係の著書を頂いた。ニセ中国史専攻出の小生は、学生時代にはさして関心もなく『三国志演義に触れることなく過ごしてきた。社会人になってから、『三国志演義の世界にどっぷりと嵌り、多くの著作を読んだ。そういえば毛沢東も愛読していたのは、マルクスの『資本論』ではなく『三国志演義や『水滸伝』だったという。

この御本は、『三国志演義の主要舞台となる現場を訪ね、歴史研究家の著者達が写真と共に紹介していくというコンセンプトになっている。以前、岩波新書で同じ趣旨で構成された作品を読んだことがあるが、明らかに今回の作品の方がボリュームがあり、中身が濃い。元来、『三国志演義を専門にしておられる方は、中国文学の専門家が多いが、この作品は歴史家がその研究に根ざして書かれているのでやはり読み応えが違う。多くの『三国志演義関係の本が出されているが、マンガの延長のような作品が多い中、骨太でありながら柔軟、軽妙でありながら重厚な作品である。

ぜひ御一読をお薦めする。


渡邉義浩・田中靖彦/共著『シリーズ世界歴史の旅三国志の舞台』 山川出版社