科学博物館で「南方熊楠」展を見る

take-bow2017-12-26

上野の科学博物館で開催されている『南方熊楠生誕150周年記念企画展「南方熊楠−100年早かった智の人』をやっと見てきた。本来なら和歌山の記念館に行かなければ見ることができない品々のうち、代表的なものを常設展の一角を使って展示されている。中でも幼少期に写本したという『和漢三才図会』を本物と比較するコーナーは熊楠ファンには堪らない。私は見ながら写したと勘違いしておったのだが、明らかに記憶してそのダイジェストを「抜書」と読んでコレクションしていた。図まで記憶してこの手法で残すとは驚異的な能力だ。和歌山中学時代の恩師で本当に「先生」と思っていた鳥山啓の写真を初めて見た。「軍艦マーチ」の作詞者としても知られる熱き情熱を感じさせる風貌であった。またアメリカ・イギリスへの遊学中も使用していたのか,長持を修理するのに「ネイチャー誌」を用いている。プレパラートや「菌類図譜」に代表される図譜類は個人で所蔵しているとは思えないレベルで今やっと社会が熊楠に追いついてきたと感じさせるものばかりだった。ただ神社合祀の反対運動についてはもう少し『牟婁新報』などを具体的に見てみたかった。最後の「十二支考・虎」へ様々な知識を昇華させていく過程を窺い知れる展示は画期的に良かったと思う。個人的はもっと熊楠グッズを販売して欲しかった。