take-bow2013-07-29

先日の休みに家人にねだられ、ジブリの最新作『風立ちぬ』を近所のシネコンで観てきた。宮崎駿得意の飛行シーンが多用されているのは言うまでもなく、今までの作品群との共通点もある。しかし、今回は実在の人物(堀越二郎堀辰雄の堀堀コンビ)をモデルにしているからというだけではすまない、不思議な断絶感があった。それは夢オチ的な話の展開を打ち破るような、関東大震災のリアリティから始まった。創作ではあっても恋愛のお相手が結核というリアリティのある病では、今までの竜やブタに変えられるというのとは訳が違う。この断絶感はいわば違和感となって見ている者に突き刺さってくる。宮崎駿監督作品なのでこけるということは無いだろうが、万が一のことがあるとしたら本作であろう。大空への夢を実現した堀越二郎が最も優れた戦争の道具=零戦を作ったという事実がこの断絶感を生んでいるのだろうか。夢を持って生きるということの困難であった時代、その描き方として本作が適切だったかどうかはまだ判断できずにいる。
★★★☆ブラボー