追悼・小沢昭一的こころ

take-bow2012-12-10

自分が年を取ったから当然なのだろうが、当たり前のようにあったモノ・人が亡くなっていく。小沢昭一さんは小生が会ったことのある数少ない芸能人だ。舞台で見たとか、映画で見たとかではない。神田神保町の古本屋で歴史の本を探していると、熱心に芸人や被差別部落の本を吟味している初老の男性がいて、それが小沢昭一さんだった。そういえば「河原乞食」という表現も彼の一連の研究によるモノだったと記憶する。
戦争中は軍国少年で、軍に志願なさったと聞いている。戦後、麻布中に戻りブラブラしている頃に、後輩たちは先生にあの先輩たちには関わるなと教えられた、と言っていた。小沢さんは早稲田大学落語研究会を初めて作り、現在の落研ブームのパイオニアでもある。役者としての怪演は「幕末太陽伝」に尽きると思うが、多くの舞台を見たかった役者さんだった。個人的にはTBSラジオの「小沢昭一の小沢昭一的こころ」を聞き続けてきた。本当に台本があるとは思えないほどの演技で、自のママ放送していると思っている人も多いことだろう。
日本の行く末がどうなるか(自公で300議席とまで言われている)分からない混沌の中、お亡くなりになったのは日本人への警鐘に思えてならない。ご冥福をお祈りします。                   合掌