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こっ、こ、こんなにボロい国宝があるのか、と目を疑いました。絢爛豪華、至高の品々の中に燦然と輝くボロ切れ。伝教大師こと最澄が唐から持ち帰った衣のうち、 綺麗な「七条刺納袈裟」と比べて、私にとってついつい興味関心が湧いてしまったのがこの「刺納衣」でした。確かにすべてモノには寿命があるとはいえ、衣服ほど諸行無常なモノはないでしょう。実際に用いられて劣化している上に、虫食いなどの攻撃に晒され、もともと首を通しただろう箇所だけが微かに分かる程度の代物です。中国天台山の高僧が使っていたという由来がなかったら、決して国宝指定はなかったことでしょう。しかし、だからこそ、この衣が貴重なモノで、すべては空であり常なモノは何もない、という仏陀の教えを体現していると思うのです。みなさん、一度でいいからKING OF 古着&ボロ国宝=「刺納衣」にご対面下さい。目から鱗なこと、間違いありません。
ご案内 比叡山延暦寺 520-0116 滋賀県大津市坂本本町4220 TEL077-578-0001 諸堂巡拝料・大人550円 8:30〜16:30