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かつて東博の壁一面を使って「伝真言院曼荼羅」と呼ばれる大作が飾られたのを見た。まさに圧巻。金剛界、胎蔵界の2枚それぞれが一坪もあろうかという大きさ。その上、暗転している展示室内において、照明がその作品としての魅力を遺憾なく引き出していた。曼荼羅が絵画であるという常識的な理解も為されないまま、私はただ呆然と立ちすくんでいた。たぶん本来の目的に従って用いられる時、すなわち結縁灌頂の場でも、このような効果が発揮されることだろうと推測した。密教的な世界観を表したという一般的な説明を越えた、不思議な出会いであった。本名教王護国寺という呼び名は元より、東寺という呼び名よりも京都の人には「弘法さん」で知られる名刹にあるわけだが、日常的には拝見できないようだ。金堂の立体曼荼羅も充分迫力があるが。。。両界曼荼羅。今一度ぜひ拝みたいモノであるが、叶わないでいる。
ご案内 京都市南区九条町1 電話075-691-3325 拝観時間:8:30〜17:30(秋は16:30) 大人500円