take-bow2007-05-06

芸術品の価値のうちでも国宝・重要文化財の違いというのは、素人には分かりにくい。これは1950(昭和25)年の文化財保護法施行以前の旧制度では、現在の「重要文化財」に相当するものもすべて「国宝」と称していたため混乱しやすいらしい。さらに言えば、重要文化財のうち「余人をもって代え難い」品が国宝となっている訳だが、いつ重要文化財が国宝に昇格するとも限らないのだ。
そんな小生のような素人に一つのメルクマールを示してくれるのが、色絵雉香炉と色絵雌雉香炉という対の作品だ。四百年も経っていても仲良く夫婦揃って同じ美術館に保存されているというのに、雄は国宝、雌は重文という扱いである。しかし、一目見て頂ければ、雄の国宝認定に異論を挟む人はおりますまい。問題は雌なのだ。意匠の素晴らしさはむしろ雌に軍配を上げる方もいるとは思われるが、如何せん地味だ。人間と異なり自然界では雌より雄の方が派手な場合が多く、それだけの理由で国宝を逃しているとすれば実にもの悲しい。ぜひ一刻も早い国宝昇格を望むモノである。


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