take-bow2007-03-22

テレサ・テン華人世界では訒麗君D醇Qng L醇_j醇穎の名で知られるスーパースターの生き様に触れた作品。台湾軍部のスパイ説や死因を巡る薬物説など、死後もマスコミを賑わせているのは、それだけ熱烈なファンがメチャメチャ多いと言うことだろう。
有田芳生氏といえば、もともとオウムというイメージしかなかったが、何でもコメントする人だなぁという程度の知識でこの本を手にした。しかし氏は本作で、テレサの心の内に大きく影を残した1989年6月4日の天安門事件と、二つの中国の狭間に置かれた歌姫の苦悩を照らし出していく。また、日本では演歌歌手のイメージばかりが残ってしまっている現状にも問題点を指摘している。もっと多様な、もっと真実に近い、もっと等身大の、スーパースター=テレサ・テンを知って欲しいという情熱が伝わってくる。
しかし、正直言って(小生の大先輩なのでたいへん失礼なのだが)、決して文章が上手いとは言えず、もっとぐいぐい引っ張るようなレタリングを期待している方には不満が残るかも知れない。それでもなお情熱の方が勝っている作品として、近々テレビドラマ化されるそうだ。小生のように貧乏でなければ、ぜひとも単行本をお薦めする。それには生涯一度だけ歌った、タイトル曲「私の家は山の向こう」のミニCDが付いているからだ。アジアを代表する歌姫テレサに出会って欲しい。



我的家在山的那一辺(1989年5月27日 香港ハッピーヴァレー競馬場)