丸山昇先生を偲ぶ。

take-bow2007-02-03

迂闊にも昨年11/26に先生が亡くなられていたことを知らなかった。享年75歳。中国文学の大家にして東京大学名誉教授。推理作家の佐野洋氏は実兄にあたる。先生にお会いしたのは、まだ小生が学生の青二才時代に京都で講演会があり、お聞きしに行ったのであった。もちろん私は魯迅も中国文学も門外漢であったが、先生の幅広い御専門は碩学としての一分野にとどまらず、文化大革命など政治と知識人の問題にも及んでいたため、私のような者が参加したのであった。先生はもう当時から人工透析をされていて、あまり遠出は出来ないとお聞きしていたので、京都の学生には千載一遇のチャンスだったのである。滑らかで理路整然とした語り口。穏やかな笑顔。とてもメーデー事件の闘士とは思えないダンディさ。最後に御著作にサインを頂戴したのが、今でも私の宝物である。
その後、東京に帰ってから、小さな会合(中国文化のテーマだったような・・・)に参加した時、会も終わりかけに後ろから懐かしいあの穏やかなお声が聞こえてきた。丸山昇先生であった。私のような薄っぺらな人間には、まさに雲の上の人でホンモノの知識人であったが、御本は我々のお馬鹿な頭にも入りやすい、理解しやすい文章で書かれてあった。大きな功績を広く普及された当代一流の研究者であったのに、本当に残念です。遅ればせながら、心からご冥福をお祈りします。                   合掌