苦しい時の国民栄誉賞

take-bow2007-03-31

アベ政権が故植木等氏に「国民栄誉賞」を検討していると報道された。6月の住民税などの大増税や7月の参議院選挙に向けての人気取りのつもりらしい。何ともはやお寒い政治姿勢ではないか。そもそも植木等はそんなことを望んでいないはず。氏の著作『夢を食いつづけた男―おやじ徹誠一代記』をぜひ読んで欲しい。その一節を引用してみよう-----------


戦争熱が高まっている頃、檀家の人が寺にやって来て、「召集令状が来ました。留守宅を、よろしくお願いします」などと挨拶することが、ちょいちょいあった。おやじは、そんな時に、こういった。
「戦争というものは集団殺人だ。それに加担されることになるわけだから、なるべく戦地では弾のこないような所を選ぶように。・・・」
     (中略)
駅頭で出征兵士の壮行式がある時、おやじは特高か、おやじを保護観察する地方保護司かに見張られながら参列することがあった。そんな時でも、おやじは本堂の一隅で、一対一の話をしているのと同じ内容のことをいうのである。「戦争は集団殺人である・・・。」おやじは、また引っ立てられていった。


こういう「おやじ」を尊敬して生きてきた人物が、その死後を汚されるような「栄誉」を欲する訳がない。まさに「お呼びでない」だろう。